光を孕んだ水が流れて島を象るように、言葉はほどかれ何度でも編み直され、こんなにも柔らかく強く透きとおる詩になった。実在の場所の伝承、そこにあったかもしれない情景とリアルな今に息づく思い。外と内。豊かにくつがえされて季節はめぐり、届けられる声を掬う私たちのてのひらに生命が燃えあがる。(川口晴美)
舟を見遣るあなたは おもうだろう
見えないものを 聴くために
聴こえないものを 見るために
どこまでもゆけるものなら、と
地形をなぞり、伝承に分けいり、みずからの物語を形づくってゆく。かつての時空を呼び醒ますために――。風と光がゆきかう、新詩集!
なんと現実的なんだろう。
確かに存在するあの季節の輝きを摑まえようとして、
詩人は日本語に無理をさせる。
その成功に、僕は戦慄した。(千葉雅也)